杜 いづみ 

黒い犬のクロ 2







「同じ金色ならハチのように身軽にどこへでも飛んでいけたらいいのになあ。 そうすればウサギなんていつでもつかまえられるのに。 どうやったら飛べるようになるんだろう」

それを聞いたハチが、近くの花に止まってこういいました。
「練習、練習。 ぼくらだっていきなり遠くへ飛べるわけじゃないんだよ。 毎日練習してだんだん飛べるようになるのさ」

キツネはその日からさっそく飛ぶ練習をはじめました。

いっぽうハチは花のみつをすうと、巣を目がけて飛んでいきました。 ハチが帰りつくと、なんと大きなクマがハチの巣をこわし、大事なはちみつをなめているではありませんか。

ハチはおこってクマをちくりとさしました。 クマはそんなことにはおかまいなしで、あっという間にはちみつをぺろりとたいらげてしまいました。

ハチが泣きながらいいました。
「いくら飛べたって巣をやられちゃおしまいさ。 ぼくはクマみたいに強くなりたいよー」

クマはハチが少しきのどくになっていいました。
「おれみたいにたくさん食べると強くなれるよ。 きっと」
それからハチは前よりももっとたくさんの花をまわり、みつを集めることにしました。

おなかがいっぱいになったクマはのそりのそりと山道を歩いていきました。 するととつぜん、どどーんと大きな音が山にこだまして、クマがたおれました。
「ううー、やられたー。ちょっとゆだんしていたら猟師のやつにー」

猟師はしとめたクマをかつぐと、山をおりていきました。

猟師の背中で息もたえだえのクマがいいました。
「いくら強くても猟師には勝てない。 ううー、おれは猟師になりたい…」

猟師はクマをひきずるようにしてやっとの思いで家にたどりつきました。そして重いクマをどさっとおろしていいました。
「ふー!まったくこんな仕事ももうおしまいにしたいよ。 えものはなかなかつかまらないし、たまにつかまえてもこう重くちゃかなわんよ」

それから庭をながめてこういいました。
「おーい、クロよ。おまえはいいなあ、のんきでよー。 まったくなあ、犬になってみたいもんだ」

庭では黒い犬のクロが空を見上げて走り回っていました。 空からは白い雪がちらちらまいおりてきました。


おわり

(c)moriizumi




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